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内山慧人さんインタビュー

このたび、2007年9月からハーバード大学に通っている内山慧人(うちやまけいと)さんからお話を伺う機会がありました。以下はそのインタビューに基づくものです。

米国進学に至る前までの話

なぜ米国の大学に行こうと思ったのですか?
高校に英語を担当しているアメリカ人の先生がいて、授業中アメリカの大学の話をしてくれました。その先生は映画に興味があって自分でもアマチュアで作ったりするらしいのですが、「アメリカには映画製作を教える大学もあるんだよ」という話をしてくれて、アメリカの大学に興味を持ちました。
イギリスの大学は入学時に専攻を決めなければいければならないし、入学した後も選択の自由があまりないので、その点自由度の高いアメリカの大学がいいなと思いました。さらにアメリカの大学はいろいろな国から学生が来るので国際的なところ、またオープンな雰囲気も魅力と感じました。
まぁ、もともと小学生の頃、7年間イギリスに住んでいたのですが、ほとんどアメリカには行ったこともなかったので、アメリカ、アメリカン・ドリームに対する憧れもありましたね。
ご両親はどのような考えでしたか?
最初に話した時のリアクションは覚えていないのですが、本当にそれでいいのかっていう反応でしたね。学部は日本に行って、大学院からアメリカに行けばいいんじゃないか、日本の大学と併願した方がいいんじゃないかと言われましたね。
日本の大学の受験勉強もした?
アメリカの大学に行きたいなという強い思いがあったので、日本の大学受験の準備はしませんでした。両方やると時間的にも大変だし、一つに専念したいと思いました。
いつ頃から準備し始めましたか?
アメリカの大学ということを初めて認識したのは中学3年くらいでしたが、本格的に準備を開始したのは高校2年生の夏くらいからです。その頃からSATの勉強を開始しました。
周りの友達は日本の大学受験の勉強をしてますよね。正直どっちが大変だと思いました?
日本の大学はやはり受験勉強が大変で、一発勝負だから大変だろうなと思いました。一方、僕の場合は生活全てが受験にかかわってくるので、そういう意味での苦労はありました。だから一概には比較できないんじゃないかなと思います。
逆に言うと生活面で意識したこととか、改めた点とかありましたか?
もともと中学2年くらいから生徒会活動とか、いろいろな行事に積極的に参加していたので、特段改めた部分はありません。また自分の中で、そのためにやるということにもいやだなと思っていたので、意識して生活を変えたということはありません。
準備している際に一番苦労したのは?
やはり一番苦労したのは情報の少なさですね。日本の大学へ進学するのであれば、担任の先生から進路指導の先生までいろいろな先生がアドバイスしてくれるんですが、アメリカの大学となるとウチの学校(渋渋:渋谷学園渋谷)の場合、国際部の数名の先生に限られてくるので。もっとも、渋渋の場合、外国人2名と日本人の先生3名くらいいたので、他の学校と比較すると恵まれていたのかもしれません。ただそれでも情報は足りないかなと思いました。
最近は各大学ウェブサイトとかもありあまり情報収集に苦労しているという印象がわかないんだけど?
たとえば、実際に奨学金をもらえそうなのかどうなのか、とか実際行った人じゃないとわからないような情報がありますよね。あと実際行ってからの生活がどうなのかというような、そうしたウェブ上には現れないような情報が欲しいと思いました。
具体的に準備はどういうような感じで進めたんですか?
最初はまずSATとTOEFLの準備をしました。両方とも高校2年の夏くらいに受験しました。ある程度、勉強を済ませた段階で大学選択に入りました。
SATは英語ということを別にすれば難易度はどうでした?
日本人にレベルからすると簡単な方だと思いました。ただ、それを英語でやるという点が難しかったです。高校では英語で何かを勉強するっていうことはしていなかったですし。
願書は何校出したのですか?
結局12校出しました。結構多いですよね。選び方としては、カテゴリーを「セーフティ」(確実に大丈夫)、「マッチ」(妥当)、「リーチ」(難しい)と3つに分けて、それぞれ3校ずつぐらい選んで、その後数校加えました。
12校受験するというのは、日本の大学受験じゃスケジュール的に無理ですよね。選出の基準は?
当時は政治とコンピューターサイエンスに興味があったので、例えばMITはコンピューターサイエンス系に強いんですが、そこを選ぶとそれしか学べないので、両方勉強できるようなところがいいかなと思いました。
渋渋は受験の支援体制としては恵まれているように思えるのですが、塾とか予備校とか外部のリソースに頼りましたか?
僕の場合は、特にそのための塾は行きませんでした。
受験のプロセスはどこの大学も同じでしたか?
そうですね、基本的には同じでした。ただ面接の有無の違いがありました。面接があったのは、MIT、ハーバード、イェール、タフツ、ペンシルベニア大学(Uペン)の5校だったと思います。
受験結果はどうでしたか?
12戦10勝2敗でした。
キャンパスビジットはしたのですか?
合格通知をもらってから4月に入って、MIT、イェール、ハーバード、タフツの4校を訪問しました。
一人で行ったの?
ハーバードに合格した日本人の友達と行きました。実際、Face Bookで知り合って、向こうから声をかけてきました。最初はちょっと怪しく思ったんですけどね。今ではいい友達です。
最終的にハーバードに決めた理由は?
キャンパスビジットをした日、天気もすごくよかったこともあってか、雰囲気がとっても気に入ったので、この学校で勉強したいなと思いました。また親もやはりハーバードということで安心できたということもあると思います。それから、奨学金の額が多かったことも理由の一つです。
奨学金は大きなポイントでしたか?
そうですね。正直もらえなかったらどうしようかって思っていました。タフツとかUペンは合格したのですが、奨学金がなかったという点でちょっと行くのは難しいかなと思いました。

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学生生活

実際学校に通ってみて、いい意味でも悪い意味でも想像と違っていた点とかありましたか?
そうですね。実際最初は、みなプライドが高くって話しもしてくれないような感じの人が多いのかなぁと心配していたんですけど、皆普通の人でした。ただ、やはり何かが秀でているか全体的に優秀な人が多いと感じました。別に変人がたくさんいるって感じではないですよ。
他の国から来た人との違いは何か感じましたか?
全体的な印象ですが、やる気に溢れているような感じがしましたね。難しい授業を取るとか、いい成績を修めようという気持ちが強いなと思いました。やはり国を背負って来ているという意識があるんだなぁと思いました。
授業はどんな感じですか?
授業は、一コマ53分で、一日3コマ提供されます。全部7分から始まるんですよ。たとえば11時7分に始まって、12時に終了するという感じです。で、その7分の間に次の授業に移動するんです。
えっ、随分と少ないし、短いですね。7分で端から端まで行けるんですか?
ええ、まぁ行けない場合は遅れていくしかないですね。
授業のスタイルはどのような感じですか?
授業によりけりなんですけど、たとえば小さい授業、Freshman’s seminarとかだと15人くらいで、一番大きなレクチャーになると1,000人くらいのものもありますね。
1,000人の授業があるんですか?
そうですね。そうした授業はもう、講義を聴くだけ、パフォーマンスを見ているだけという感じになります。
どの授業をとってもいいんですよね?
コアカリキュラムと自分の専攻以外はどの授業を取っても構いません。
自分の専攻はどのタイミングで決めるんですか?
2年生のFall Semesterが終わった時点で決めます。ですからほとんどの人は専攻を決めるためにいろいろな授業を受けます。一年目はそういう意味では、何が面白そうなのかなというのを決めるためにあるような感じです。
課題とか多いですか?
そうですね、文系の場合はとにかくたくさん本を読むのとエッセイを書かされます。理系の場合だと、問題が与えられて、それをやってくる、まぁ普通の宿題が出ます。
授業はいくつ取ってもいいんですよね?
そうですね。いいんですが、あまり取りすぎると予習とか宿題とかがたくさんあるので大変になってしまいます。だいたい一つの学期で3つか5つくらい選択します。講義は一週間一度だけではなく複数回あるので、たくさん取ると他に履修したい授業とかぶらないようにしなければいけないので、上手に作戦を練ることが大切です。しかも提供される授業の種類があまりにも多いので、どの授業を取るか随分時間をかけて検討します。
授業の準備は大変ですか?
そうですね。授業自体は短いですが、事前準備、事後の課題等はたくさんあります。
じゃ、よく言われているように、皆必死に勉強するわけですね。そこが入るのは大変だけど、いったん入学してしまえば比較的楽な日本の大学生と違う点ですね。
そうですね。ただ必ずしもそういうわけでもないですよ。実際イメージとしてはすごく勉強している人とあんまり勉強していない人と半分半分くらいいますし。やはり海外から来ている学生は国の代表してきているという意識が強いのか真面目ですよ。
今はキャンパス内の寮に住んでるんですよね?
そうです。一年目はそれが義務付けられていますが、2年目以降は自由です。でもキャンパスから出る人は1%いるかいないかぐらいです。
授業以外の課外活動はどのようなものがありますか?
一杯ありますよ。文化的なもの、スポーツ的なものも含めて400くらいあると思います。誰でも勝手に作れますし。カレッジサイトに情報は出ているのですが、それだけだとどのグループが実質的に活動して、どれがしていないかわからないんですよ。ですから9月とか4月に開催されるアクティビティフェアに行って実態を知るわけです。
一年間過ごして、ここがよかったなぁと思うのはどんなところですか?
まず何よりもいろいろな人に会えること、機会がたくさんあることですね。どの分野にも一流の人がいて、例えばある勉強がしたいと思ったら、その一流の人から学べる点はいいですね。つまり、これは他の大学に行かなければできないんだよっていうようなことがないです。実際にはまぁ科学的なことはMITに行かなければないということもあるかもしれませんが、それは例外的です。
1年間授業を受けてきた中で一番面白かった授業は?
授業は全て面白かったですよ。でも印象深かった授業でいうと、例えば、「コンピューターと法律」という授業でした。この授業ではYou-Tubeの著作権問題とか、マイクロソフトの独占禁止法問題などが取り上げられました。担当してくれたのが、実際にマイクロソフトの弁護士になっていた人で、この教授と一緒に15名くらいでテーブルを囲んでディスカッションできたのがものすごく面白い授業でした。
また、哲学の「Justice(正義)」という授業、これは1,000人くらいの授業だったのですが、これも教授自身が哲学者で、聞いたこともないような哲学の話も聞くことができて面白かったです。あと、コンピューターサイエンスの入門授業もとても興味深いものでした。
だいたい何を専攻しようか固まってきました?
現時点ではメジャーをコンピューターサイエンスにして、マイナーを心理学にしようかなと思っています。

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将来・その他

将来の夢、やってみたいことは?
コンピューター関係の仕事をして起業してみたいですね。まぁ、シリコンバレー的な。あとは教育とテクノロジーの架け橋となるような仕事ができたらなと思います。
ほとんどの同級生は日本の大学に進学していると思うんだけど、久しぶりに会って、違いを感じましたか?
意外と東大は専攻をすぐ決めなくてもいい点とか、いろいろな授業を受けることができるとか、ちょっとアメリカの大学に似てるかもしれないという印象を受けました。大学生活的にはやはり文化が違うなって感じはしますよね。また部活をやっている人はそれなりに楽しそうでしたが、概して授業はあまり面白くないと言っている人が多い印象を受けました。
大学は勉強するところなのに授業が面白くないというのは問題ですね。教える人の質なのかな?
アメリカの大学では、生徒が教授を評価して、その結果が本になって配られるんですよ。だからつまらない授業をしている先生は、人気がないことがあからさまにわかる仕組みになっているんです。
最後にアメリカの大学への進学を目指している日本の学生に対するメッセージがあれば是非!
行くという気持ちを自分で持つことが一番大切だと思いますね。親とか誰かに行けといわれたとかだと、やる気が続かないと思います。行きたいという意志が固まったのであれば全力で頑張るべきです。
それから自分にあった大学に行くのがいいかと思います。

ありがとうございました。今後も是非いろいろとお話お聞かせ下さい。

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KRMが考えるリーダー

米国進学のススメ